枇々木研究室hibiki Lab.

教授枇々木 規雄 / Norio Hibiki

研究の概要

「実際の金融取引に使える」ことを目指し、以下の研究テーマを行っています。(1) 資産配分決定やポートフォリオ選択などの資産運用技術、(2) 株式のティックデータ分析と最適執行戦略モデルの構築、(3) 家計のフィナンシャル・プランニング、(4) 金融機関の資産と負債に関するリスクの総合的な管理技法

担当講義科目

管理工学輪講、卒業研究、管理工学実験・演習6、管理工学基礎演習Ⅰ、フィナンシャル・エンジニアリング第1、経営計画・評価論、フィナンシャル・エンジニアリング特論第2

研究の特徴

①資産配分決定やポートフォリオ選択などの資産運用技術

年金基金の効率的な運用や投資信託の設計を行うためには、リスクとリターンを考慮した資産運用技術を開発し、投資戦略を決定する必要があります。そのために、ポートフォリオ最適化のモデリングや収益率分布の推定に関する研究を行っています。また、アセットマネジメント会社との共同研究を通じ、これらの研究成果を実践しています。

  • 図1-1:最適ポートフォリオ

  • 図1-2:収益率分布のコントロール

②株式のティックデータ分析と最適執行戦略モデルの構築

生命保険会社や年金基金などの機関投資家は大量の株式売買を行う場合に、できるだけ執行コストを抑えて注文を執行したいと考えています。執行コストを最小にする多期間最適化問題として定式化し、注文方法(最適執行戦略)を導出する研究を行っています。また、実際の取引に役立たせるために、取引ごとの価格と注文量を表す膨大な取引データ(ティックデータ)を分析し、最適化問題を解くために必要なパラメータも推定しています。

③家計のフィナンシャル・プランニング

世帯は住宅購入、子供の教育、退職後の生計などの計画を立てる一方で、様々なリスクにさらされており、「家計ファイナンス」と呼ばれる分野の研究の重要性が増しています。安心した老後を過ごせるように長期間にわたる投資・保険戦略を立案する最適な資産形成モデルや、退職後の投資・年金・消費戦略を立案するリタイアメントプランニングモデルに関する研究をしています。また、家計調査に関するパネルデータの分析も行い、モデル化や実際のファイナンシャル・アドバイスに役立つ研究も行っています。

④金融機関の資産と負債に関するリスクの総合的な管理技法

銀行は金利リスク管理を高度化させて、健全な経営管理を行う必要があります。コア預金・適用金利等の銀行勘定の特性や金利と信用力の依存構造等に着目した統合リスク管理モデルを構築し、モンテカルロ・シミュレーションを用いた分析を行っています。また、銀行だけでなく、保険会社や年金基金の統合リスク管理手法である資産負債管理(ALM: Asset and Liability Management)についても研究しています。

企業との共同研究

  • 「アセットアロケーションモデルおよび個別資産の投資戦略モデルの開発」岡三アセットマネジメント株式会社(2019年度)

教育目標・方針

金融に関わる問題解決のためのモデリング技術や数量分析の方法を習得し、実際の金融取引に使える分析能力を身につけた人材を育てることが目標です。具体的には、研究テーマを自ら見つけ出し、問題の定式化、分析、考察、といった一連のプロセスを繰り返し、最終的には論文にまとめ、それを外部に発信(国内・海外発表、査読付き論文への投稿)することができるようになってほしいと思っています。また、金融の世界では文系出身者が多いので、数式だけでなく図と言葉でもわかりやすく、きちんと説明できるようになることも目指します。

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